阿仁谷ユイジ様に続きグミの敬愛する漫画家、ヤマシタトモコ。かなり、くらんじゃってます。大好きな作家様です。
恋の心に〜は、氏のセカンドコミックなのですが、私のヤマシタバージンはこの作品で、言うに言われぬ愛情があります故、ここでご紹介。愛情が行きすぎてまして、概要なんか無理。短編集ですが一つずつ行っちゃう無茶も愛ならでは。
まず、表紙。まことにBL本かと疑いたくなるくらいの地味さと存在感。二神君の切なく美しい一瞬の表情を捉えています。こんな表情描ける漫画家さんはそうはいないだろー。
めくりまして、氏の『一生に一度は言ってみたいセリフ』に是非ニヤリとして頂いたらヤマシタワールドの始まりです。
『ベイビー、ハートに釘』
何ともセンスあるタイトルですが、姉と弟ふたりきりの小さな家族に起こる小さな嵐。弟がゲイで、不毛な片思いをしている事を知った姉。淡々としているようで、弟を思い感情が溢れ出てしまうストーリー展開がかなりドラマチック。これはBLと言うには収まりが悪い作品です。ヤマシタトモコは切り口がいつも斬新。
いつか家族ができたら、「おはよう」と「おやすみ」は必ず言おうと思いました。
「そうやってハートに刺さった釘は何万回のおはようとおやすみを繰り返しても抜ける事はないのに」
『イッツマイチョコレート!』
切り口の斬新さで言ったら本書の中ではこれがいちばん。6人兄弟の長男(ゲイ)の家族愛に満ちた様子がピリピリと伝わってきます。私結構泣いてしまいます。お兄ちゃんの彼氏はお兄ちゃんと境遇が真逆で、それに対する軽口とか、わやくちゃになって泣きながら漏らしたお兄ちゃんの本音とか、それに対する兄弟の控えめな愛情が最高の読後感をもたらしてくれます。
個人的には三女の真ちゃんが良い。お兄ちゃんの隙間にすっと入ってくるあの感じ。真ちゃんはきっとわかってたんだろうなあ。
「うちはいつもうるさくて、いつでも誰かが泣いてて、友達連れてくるのも恥ずかしくて、弟は乱暴で妹はワガママで、父ちゃんと母ちゃんはセックスバカ、だけど嫌いだと思ったことはないんだ、一度も」
『悪党の歯』
ヤクザモノです。末期のガンである組長と、組長の昔馴染みで側近、組長に思いを寄せる唯川、そして唯川の気持ちを知る組長の娘。
物語は唯川とお嬢さんの二人で進行します。そしてガン末期である組長の存在から三人の思いが交差していきます。それは必ずしも交わったり報われたりする訳ではないけど、死を前に静かに点滅する人間模様が切なくもリアル。
お嬢さんが組長と重なる場面は鳥肌が立ちました。
「…あのスマッシュ、あれが俺の心を切り裂いた…矢のように」
『恋の心に黒い羽』
来ました表題。二人がお互いの価値観を持って言葉と気持ちでぶつかり合う様は胸が締め付けられました。ドMの二神君とケーキ屋の同僚で口の悪い中頭君。純真な好きと言う気持ちを覆うMと言う性的嗜好を、心に生えた黒い翼と表現したその言葉力に感嘆。
繊細でMの鎧がないと本心を出せない二神君ですが、案外逞しいためSM題材にしては前向きな後口で手触りもよいです。応援せずにいられますかっての。
「きみに好かれたい、どんなにミジメでも、羽がもげても」
『その火をこえてこい』
文学少年とアホな体育会系少年の高校夏休みのエロ話。と書くと身も蓋も無いようですが、本当なんだからしかたないっす。文学少年の文学ぶりとアホ少年のアホエロぶりを堪能できますよ。エロとはなんぞや。やりまくるだけがエロにあらず。
タイトルの由来と本編のリンクぶりは小気味よい仕上がりになってますよ。
「ゲイじゃないおまえとやりたいだけだあと本は嫌いだ、俺とセックスしよう六条!!」
『FOOL 4 U』
グッと年齢が上がります。なので会話やプレイにもアダルティな香りが。結さんの気持ちの揺れは思う存分堪能できますが、その分充夫君の感情がもう少しほしかったかなと。まあそこは充夫君の阿保さ故なんでしょうかね。
個人的には名前も出て来なかった結さんの恋人が気の毒でいたたまれない気持ちです。あの人、相当大人で優しいぞ!ゲイだとばれたくないと言う結さんに対して「友達って言っていいから」なんて…なんて…!
「たぶんおれの方がこいつよりもよほどバカなんでしょう、恋のバカ」
『フォトジェニック』
何となく実験的な臭いがします。深い意味ナッシング、書きたいから書きましたが何か的なドライな情熱を感じますね。またデリヘルボーイの彼がいいかんじに駄目な風俗臭がしてそれはそれでたまんないです。あの人危険な恋にはまっていくのかしら…ワクワク。
「むりです、なぜならおったっちんだから

」
ハア、以上です。こうして読み返すと改めて大好きな作品なんだと実感できますね…たまんないす。
後書きや書き下ろしの素晴らしさも語りたいのですが、それはまた別の機会に…。
- 2009/01/13(火) 21:44:42|
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はじめまして井出様、コメントありがとうございます。まず返信が遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。時間が経ってしまったのでメールでは失礼かと思い不躾ですがコメント返信と言う形をとらせて頂きました。
そして、身にあまるようなご提案を賜りましてありがとうございます。とても光栄なお話ですが、私にはとても荷が重く、到底皆様の熱意に応えられるようなレビューは書けません。せいぜいこんなブログにぶちまける程度で…。
しかし、ご紹介頂いたサイトはちゃっかり見て楽しませて頂いてます。運営お疲れ様です。これからも度々訪問させて頂きます!
不慣れな文面で失礼がありましたら申し訳ありませんでした。本当にありがたとうございました。グミ
- 2009/03/01(日) 23:37:50 |
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